「ここを救うために、悲しいし苦しいだろうけど、ソ連兵の犠牲になってくれと言われまして。まあどうしようもありません。涙を飲みながらそういう目にあいました」 終戦直後、中国東北部(旧満洲)でソ連兵から何十回と性暴力を受けた佐藤ハルエさん(当時20歳)の証言だ。中国人からの襲撃を受けて集団自決に追い込まれた黒川開拓団は、未婚の女性15人をソ連兵に差し出すことで生き延びた。感染症などで4人が亡くなった。帰国後も差別や偏見にさらされ、弟からも「汚れた娘」と言われた。女性たちは長い年月を経て沈黙を破り、事実を公にした。
