スラヴォイ・ジジェクについての本、トニー・マイヤーズ著『スラヴォイ・ジジェク』の第六章「なぜ人種差別は常に幻想なのか」を中心に、ジジェクの人種差別をめぐる分析についてメモしておきたい。 人種差別は「汝なにを欲するのか?」(Che vuoi?)という問いかけではじまる、とジジェクは主張する、とマイヤーズは語る。「汝は我にかくのごとく語る。だがそれによって汝は何を欲するのか。汝の目指すところは何か」。 ジジェクはこの「汝何を欲するか」について、例のごとく、ヒッチコックの映画『北北西に進路を取れ』を引き合いに出し例証する。 ロシアの秘密諜報局を攪乱するために、CIAはジョージ・カプランと名の、実際には存在しない諜報員をでっちあげ、彼の名を使ってホテルを予約し、彼の名で電話をし、彼の名で航空券を購入する、といった細工をする。すべてはロシアの諜報局に、カプランが実在しているように信じさせるためである
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