今年もノーベル文学賞の季節がやってきた。毎年10月の第1か第2木曜日に発表するのが通例になっている。今年は10月10日(木)の日本時間午後8時から。インターネットで公式サイトにアクセスすると、アナウンスの生中継が見られる。 ノーベル文学賞の時季というのは、日本で外国文学(翻訳文学)が大注目される年に1度の機会だから、お勧めの作家、作品をたくさん紹介していきたい。出版界はこの期間を狙って、ノーベル文学賞受賞作家や候補とされる作家の翻訳書を怒涛のごとく刊行するので、それもまとめて後半で紹介する。 いま読みたい2冊はこれ! 今月ぜひ紹介したいのは、2024年に刊行された海外文学のなかでも最も衝撃的な、パレスチナの女性作家アダニーヤ・シブリーによる小説『とるに足りない細部』(山本薫訳、河出書房新社)と、ノーベル文学賞の呼び声もあるルワンダ生まれのフランス語作家スコラティック・ムカソンガ『ナイルの聖