東京拘置所から保釈されるKADOKAWAの角川歴彦前会長(中央)=東京都葛飾区で2023年4月27日午後9時42分、北山夏帆撮影 「会長への過度のそんたく」――。出版大手「KADOKAWA」(東京都)は、前会長の角川歴彦(つぐひこ)被告(79)ら元幹部3人が贈賄罪に問われた東京オリンピック・パラリンピック汚職事件をこう総括する。6月15日に前会長の部下を有罪とした東京地裁判決も、原因を「会長の意向」と断じた。現経営陣と部下、両方から見放された形だが、前会長は検察との闘いを諦めていない。孤独を深める出版界の先駆者の現在地とは。 「日本は民主主義が成熟していないね」。4月27日に保釈された前会長は約7カ月に及んだ東京拘置所での勾留生活について周辺にため息交じりに漏らした。 東京地検特捜部に逮捕されたのは2022年9月14日。部下2人と共謀して19~21年、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(7