台風19号で甚大な被害を受けた宮城県丸森町は「猫好き」には知られた町だ。猫の供養碑が点在し、数は日本一多いという。「猫神さまの町」として地域おこしに取り組んできたが、台風で一部の碑が被災。交通が寸断され、被害の全容も分からない。関係者は「観光資源だけでなく、地域の信仰を伝える貴重な資料。早く確認し、人知れず失われる事態を回避したい」と心配している。 被災状況を調べた村田町歴史みらい館(宮城県村田町)専門員の石黒伸一朗さん(61)によると、丸森町は江戸時代から昭和まで養蚕業で栄えた。ネズミがカイコの幼虫や繭の中のさなぎを食べるため、駆除する飼い猫を大切にしていた。町には「猫神さま」と呼ばれる石碑や、猫の姿をかたどった石像が計81基ある。 地域おこしの動きが広がり、2017年、町文化財友の会が「丸森町の猫碑めぐり」を発行、町観光協会は気軽に散策できるマップを作成した。老舗菓子店「栄泉堂」では、