イランによるアフガニスタン難民の派兵は、これまでも海外メディアが指摘してきたが、人々は軍事組織「革命防衛隊」の弾圧を恐れ口をつぐむ。イランが支援するシリアのアサド政権軍が、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦を優位に進めている現状を踏まえれば、他国から批判が高まる状況にもない。各国の利害が一致する中、出口の見えない悲惨な状況が続く。【田中龍士】 「もう少し下げてください」。アフガン難民の30代男性はインタビュー開始前、口元が映るビデオカメラのアングルを気にして言った。証言したことを周囲に知られることを恐れており、首から下だけを撮影することで理解を得た。男性の手にはイラン外国人移民局が発行する身分証。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が認定した難民であることを示す。取材を始めて2年余。核心的な証言にたどり着いた。