『恋愛王』というエッセーを雑誌に連載していた時に、読者の出せなかったラヴレターを供養しましょうという企画をやっていました。出せなかったラヴレター、受け取ったけれどつらい思い出でしかないラヴレター、そういうものを、僕が代わりに供養しましょうという企画でした。全国から、たくさんのラヴレターが集まりました。 たくさんの数を読んでいるうちに、僕はなんだかいやーな気持ちになっていました。それは、ほとんどのラヴ・レターが『素直になれない私』と『本当はこうしたかった私』について書いている文章だったからです。『どうしても素直になれない』から『本当はこうしたかったのに、ああしてしまった私』というミもフタもない要約ですべてがすんでしまうラヴレターがほとんどでした。 読みながら僕は、「ぬわにを甘えたことを言っとんのや!恋愛は勝つか負けるかやんけ!」と叫んでいました。いやーな気持ちになったのは、心の中で叫び続けて