49 書評 書評:ケイト・マン 『ひれふせ、女たち』 (小川芳範訳, 慶應義塾大学出版会,2019年) 横路 佳幸 � https://orcid.org/0000-0002-7501-5384 慶應義塾大学大学院 文学研究科 哲学・倫理学専攻 〒 108-8345 東京都港区三田 2-15-45 2019 年 12 月 29 日原稿受付 Citation : 横路 佳幸 (2020). 書評:ケイト・マン 『ひれふせ、女たち』 (小川芳範訳, 慶應義塾大学出版会,2019 年) . Journal of Science and Philosophy, 3 (1), 49–66. 1 本書の構成と主張 本書の主題はいわゆるミソジニーである。女性蔑視や女嫌いとも訳さ れるこの比較的「新しい」概念 1 を詳細に分析することで、著者のケイ ト・マンは、女性を取り巻く不当な社会環境について多岐にわ