震災からモスク建設まで、最近身近な「これは差別なのかな?」という事例が増えてまいりました。 差別は絶対に許されず、あってはならないものです。これに反対する人はほとんどいないでしょう。私たちは小学校の頃から「差別教育」を受けており、いかなる差別も行わない、許容することがないようしつけられております。 それなのになぜ差別は減らないのでしょうか。「差別は許されないがこれは差別ではない」「いいやそれはれっきとした差別だ!」「差別なんてされた方が差別だと思えば差別なんだよ」などという言説の混乱が起きるのでしょうか。 おそらく、それは「差別とはなんなのか、どうなっていれば差別なのか」の、差別の定義が曖昧な所為で混乱を招いていると思われます。 本稿では差別の定義を探り、具体例にそくして考察することで、多少なりとも差別をめぐる状況の整理ができないかを試みます。