かつては魚介類が豊かで「魚庭(なにわ)の海」と呼ばれた大阪湾の水産業再生へ、大阪府が本格的に取り組んでいる。「汚い」というイメージを払う切り札は、最近まで「幻」とされた高級魚のキジハタだ。孵化(ふか)させた稚魚の育成に成功して5年目を迎え、ブランド化も視野に入ってきた。 5日午前、堺市の出島漁港から漁船で15分ほどの海上。傾けたザルから、10センチほどのこげ茶色の稚魚が次々と大阪湾に飛び込んだ。 卵から4カ月かけて育てた府立水産技術センターの辻村浩隆さん(39)は「やっと親離れしてくれる。でも、大きくなって戻ってこいよ」と声を掛けた。