NHK映像ファイル「あの人に会いたい」-安部公房(Abe Kobo) 安部公房:僕にとっての関心というのはやっぱり、今を見るっていう事。しかしをれは僕のこのメビウスの輪ですよ。それを箱とかあの壁とか砂というものに投影する。いい投影体を探す事ですよね。 「砂の女」や「壁」など、数々の前衛的な作品で、現代文学の世界的トップランナーといわれた作家、安部公房。その作品は世界30数カ国で翻訳されていると言われています。生前、日本で一番近いノーベル賞作家とも言われました。安部公房は1924年、大正13年に東京で生まれ、一才で満州に渡りました。父は満州医大の医師で、安部は16才まで奉天で育ちました。戦後引き上げを経て、東大医学部在学中から小説を書き始め、27才の時、「壁ーS・カルマ氏の犯罪」で芥川賞を受賞しました。38才で書いた代表作、「砂の女」は、現代人の孤独を追求した傑作です。社会が複雑化する中、安