先日、1つの文書が公開されました。そのタイトルは『電子政府ユーザビリティガイドライン』――その名のとおり、これは日本政府による初のユーザビリティガイドラインなのです。 背景 どうして日本政府がユーザビリティガイドラインを作る羽目になったのか? その始まりは「e-Japan戦略」にあります。 2001年、政府は「5年以内に世界最先端のIT国家となる」ことを目指して基本戦略を策定しました。その中の重点政策の1つが、行政の電子化(電子政府)を進めて国民や企業の利便性を飛躍的に向上するというものでした。特に各種申請手続きをオンライン化するために積極的にシステム開発に投資しました。 ところが、無事システムは稼働したものの、なかなか国民や企業に「使ってもらえない」(中には使い物にならない場合もあった)のです。政府は利用促進のためにユーザに様々なインセンティブを与え、広報活動にも力を入れましたが、いっこ