アートとはいったい何でしょう? この世に存在するアーティストたちの方向性は様々です。表現内容や手法も様々です。でも、人の心を揺さぶり「常識」という名の偏見をふるい落とすものがアートなら、その中で心に強く刻まれるものが感動なら、これはとても感動的なアート作品といえるのではないでしょうか? マーク・クイン(Marc Quinn)。彼は1997年から自らの冷凍血液を使って自分の頭像を5年おきに製作しているイギリスのアーティストです。一回に使う血液の量は4.5リットル、およそ5ヶ月間かけて採血したのち、自分の頭型に流しこんで肖像を作り上げていくそうです。 人間の頭の形をした血の塊を見て、ぞっとする人も少なくないでしょう。しかし、彼自身の肉体と精神が凝縮されたこの赤黒い分身は、強烈な存在感を放ちながら訴えてくるのです。自分は何者なのか、美とは何なのか。 ときには現実離れした妖艶さを放ち、ときには見る