リビングは私の憩いの場だった。家族で食事をするのも一人で勉強に励むのも、時には眠りに落ちるのまでそれは全てリビングだった。4人で囲む大きな丸テーブルは、家族が多いせいで無理やり増やした8つの椅子に周りを固められ、大きなソファーには座り心地より寝心地を重視されたタオルケットがいつも巻きつけられていた。他に誰がいようが気にならなかったし、祖母が見ているテレビ、母と叔父とのおしゃべり、父が聴いてる野球中継、弟が勉強している英語のリスニング問題、小さな従妹が床にぶちまけた引き出しの中身、それら全てが私の生活の心地よい効果音だった。 しかしそんな日々は唐突に終わりを迎えた。 弟1号(私には弟が3人いる)が高校受験を間近に控えたある冬のこと。彼は勉強範囲を文字通り物理的な意味で拡大し、あろうことか私の聖域であるリビングに進出した。音楽を聴きながら勉強するのが趣味だった彼は(いったいそれでどうやって集中
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