形容動詞は、平安時代に形容詞が不足したとき、形容詞で表現できない意味を持つ名詞を語幹として「なり(←助詞「に」+動詞「あり」)」または「たり(←助詞「と」+動詞「あり」)」をつけることによって成立した[1](前者はナリ活用で現在のダ型活用、後者はタリ活用で現在のタルト型活用[注 1])。 独立した品詞としてこれを立てることに否定意見も多く、それぞれ別に節を立てて説明するが、形容詞とする立場、名詞とする立場がある。「形容動詞」という名称にも異論がある。まず、独立した品詞とする立場から説明し、その後に異論を示す。 形容詞は「大きいである」のように「~である」をつけることができないが、形容動詞は「不謹慎である」のように「~である」をつけることができる。 とはいえ「だ」「です」「である」が接続するのは、形容動詞の連体形である「~な」とそれが係る体言がともに省略されたとも解釈できる。坂井秀寿『日本語