人が倒れ呼吸や心臓が止まっていたら、口に息を吹き込む人工呼吸と胸を押す心臓マッサージ(胸骨圧迫)を交互に―。救急車が来るまでに市民が行う応急手当てとして普及しているこの“常識”が揺らいでいる。「人工呼吸をせずに胸骨圧迫だけを続けた場合、患者の社会復帰率は、人工呼吸を併用したときと同等か、むしろ高い」という論文が、英医学誌ランセットに掲載されたのだ。 ▽復帰率2倍 発表したのは日本救急医学会関東地方会のSOS―KANTO研究班(委員長、長尾建・駿河台日大病院救命救急センター部長)。同病院など関東を中心に58病院が参加し、2002年9月―03年12月に病院外で市民に心停止を目撃された成人4000人余りについて分析した。 30日後の社会復帰(意識がはっきりしている)率は、救急隊が到着するまでに応急手当てを受けた1151人では5%で、受けなかった2917人の2倍強。 応急手当てを受けた人のう