昨年、政府高官はある地方の何の変哲もないビルに足を踏み入れた。入居者を示す表札プレートはどこにも見当たらないが、屋内では訪問者の本人確認を行う生体認証など複数のセキュリティーゲートが立ちはだかる。 窓一つない分厚いコンクリートに囲まれた部屋にたどり着くと、巨大なサーバーに圧倒された。全ての国民の住民票コード、そしてマイナンバーを一手に担う地方公共団体情報システム機構の心臓部だ。 高官は昨年5月の日本年金機構の年金個人情報漏洩事件で胸騒ぎを覚えたのか、入念に室内を見て回り、「完全かつ安全に管理されている」と胸をなで下ろした。ビルの存在を知るのは、一握りの政府高官とシステム機構職員だけ。「場所が特定されるとテロの恐れがあり、非公開とする」との内部規定もある。
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