日本銀行の黒田東彦総裁は6日、インフレ率の日米格差には、予想インフレ率だけでなく、企業が受ける供給制約の違いも影響していると語った。オンライン形式で行われた日米財界人会議で講演した。 米国では雇用が十分に回復していない中で需要が急激に回復し、「企業は賃金の引き上げにより、雇用の確保を急ぐとともに、財・サービス価格も引き上げて需要超過の解消を図っている」と分析。日本は米国ほど需要が回復していない上に、多くの企業が雇用を維持してきたため「供給制約は相対的に限定的なものにとどまっており、急いで賃金や価格を引き上げる必要に迫られていない」と説明した。 経済ショックに対して素早く解雇や一時帰休が行われる米国と、できるだけ雇用の維持を図る日本の労働市場のダイナミクスの違いが「インフレ率にも無視できない影響を与えている」との見方も示した。 8月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比