以下、本テキストにおけるゲームの「アイデア」の意味は「ゲームデザインの根幹を為す発想」に限っている。 “複数の問題を同時に解決する”といった実務上の意味のほか、 “こうした操作性やグラフィックがすごい”といった部分的な洗練を示す意味などは含まないものとする。 このテキストを書きながら、テレビを流し見していると「どれだけ金をかけてもそんなものはゲーム本来の面白さと何の関係もない。ゲームに必要なのは……アイデアだ」という声が聞こえた。 どうやらこれからTBSでスタートする『アトムの童』というドラマのセリフらしい。僕はそのセリフを聞いて「本当にアイディアですべてが決まるなら、どれだけゲームを評価するのは楽になるだろうか」と思った。 ちょっと執筆の休憩も兼ねて『アトムの童』のストーリーを調べてみた。物語はインディーゲームの若き天才ゲーム開発者が主人公だという。ある日、廃業が近い老舗玩具メーカーが状