みだれめも 第215回 水鏡子 少し古い話になってしまったが、『このライトノベルがすごい!2015』は例年にも増して読み応えがあった。 10周年到達ということで、レイアウトの刷新を始め、いつもより頑張ったのだろう。ずっと関わってきた執筆者一同にも思うところがあった気もする。そんななかでも、なにより得難かったのは、「ネット発小説特集」だった。いわゆる「なろう系小説」について、はじめて俯瞰的眺望をいただけたのである。 ライトノベルという業界は、新勢力の勃興が激しい。同工異曲がまたたくうちにあふれかえり、そこに工夫を凝らした作品が続々現れ、テンプレート化してジャンルの共有財産となっていく。そのこと自体はどこの小説ジャンルでもほぼ共通した傾向(※1)だが、ここに他メデイアで成長した文化が、その文化圏の客層を引き連れたり引き連れなかったりしながら新規参入を繰り返し、ジャンルの旧来読者のマイナー意識変
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