いつまでも私の記憶の中に残っている美しいテレビCMがあります。 例えば1987年、猿がヘッドフォンで音楽を聴きながらウットリとしているソニーWALKMAN(ウォークマン)。1983年、何気ない街や自然の中にただクルマを置き、ルイ・アームストロングの名曲「この素晴らしき世界『What a Wonderful World』」とオーバーラップさせたホンダ・ワンダーシビック。壮大なボレロの音楽とともにクルマがゆっくりと登場するホンダ2代目プレリュードなど。とてもシンプルでありながら、見ている人の心に突き刺さるようなメッセージが込められていたCMでした。 「もの」と「人」の関係が現在よりもずっとシンプルであった時代の、人に感動を与えるテレビCM。そこにはCG(コンピューターグラフィックス)合成もなく、手でアイデアを創っていた時代です。時間も手間もかかっていた分、その効果はダイレクトにこころに伝わって