東日本大震災が起きたとき、被災外国人に避難や生活や復旧の情報が的確に伝わったかというと、阪神淡路大震災のときや新潟県中越地震のときとほぼ同じ状況にありました。とくに東日本大震災の場合、被災地に住む外国人の国籍は160カ国以上でした(※1)ので、情報をそれぞれの母語で得ることはありませんでした。 (※1)災害救助法適用市町村の外国人登録者数について(法務省) 正確に言うと、英語や中国語や韓国・朝鮮語では伝えたのですが、刻々と変わる情報をそれらであってさえ逐一伝えることはできなかったということです。たとえばその市の担当課に英語の専門職員がいたとして、被災下での外国語対応は、限られた通訳者たちの能力を超えてしまいました。発災直後から外国人住民の安否確認や被災状況の収集に就いてきた彼らですが、さらに文化の違いから生じる日本人では必要としない情報までも翻訳しなければなりませんでした。デマや差別の問題