瀬戸内有数の景勝地・鞆(とも)の浦(広島県福山市)の町並みを保存しようと、映画監督の宮崎駿さんや大林宣彦さんらが地元NPOと協力、基金「鞆・町家エイド」の設立準備を進めている。鞆の浦では近年、江戸・明治期に建てられた町家約200棟の多くが空き家になったり、売却されたりして、町並みが危機に瀕(ひん)しており、関係者らは「基金設立で貴重な歴史財産を守りたい」と協力を呼びかけている。 鞆の浦は瀬戸内海を行き交う船の「潮待ちの港」として古代から栄え、幕末には坂本竜馬が乗っていた船が近くで紀州藩の船と衝突した「いろは丸事件」では、鞆の浦で賠償の直談判をしたことなどで知られる。 しかし、交易で財をなした豪商らの旧家の多くが姿を消し、町並みも以前のたたずまいを失いつつあり、危機感を抱いた地元住民らは3年前、NPO法人「鞆まちづくり工房」(松居秀子代表)を設立。坂本竜馬が談判で使ったとされる建物1棟を旅館