心を根こそぎ奪われた。すごいよ。すごすぎるよ。グレッグ・イーガン「順列都市」に匹敵する面白さ。テッド・チャンも納得の一冊のはず。もうとりあえず読んでくれ。こういう作品が出てくるからSFはやめられない。脳のニューロンの状態を記述できる言語ができて、ありとあらゆる人間の精神を記述(再生)できるようになった話です。そうしたテクノロジーと、死すべき人間が向かい合ったら、これはもう面白い話にならざるを得ない。 死ぬか、気が違うか、それでなければ宗教に入るか。僕の前途にはこの三つのものしかない。 夏目漱石「行人」 他人事ではありません。あなたは死ぬ。僕も死ぬ。どんなに足掻いても死ぬ。もう21世紀だっていうのに、相変わらず、死ぬ。 いやあ、しかし、なんだ。死ぬのか。これを書いている今、まったく現実感がないのだけれども、まあ、死ぬのだろう。脳細胞が壊れ、人間性の源であるニューロンの活動も停止し、感覚は遮断