メソポタミアから出土する、楔形文字の粘土板の解析に当たっているベルリン自由大学の研究だという。… ウルクというシュメールの都市(現在のイラク南部)で発見されたその粘土板は、紀元前3400年から3000年にかけてのものだった。つまり、いまから5000年以上も前のものということになる。 シュメール人が文字を使うようになったのは、もともとは文章を書くためではなく、商品の在庫量を記録するためだったらしい。文字を使うと、人間は脳本来の能力を超えることをできるようになる。この粘土板はその最初期の例だろう。 集団が小さく、取引も単純だった頃は、自分の頭ですべてを記憶することができた。しかし、都市が誕生すると、税金もかかるようになり、複数の人間の共有資産も多くなった。そうなると、すべてを頭に入れるのが困難なので、頭の外に記録するようになったのだろう。 文字で記録しておけば誰でも見られるので、見知らぬ人を信