「おのれが、人の命を絶ち、その肉(しし)むらを食ひなどするものは、かくぞある。おのれら、承れ。たしかにしや首斬(き)りて、犬に飼ひてん」 ――「吾妻人、生贄をとどむる事」、『宇治拾遺物語』 「生きることはまことに苦しくつらい・・・ 世を呪い 人を呪い それでも生きたい・・・」 ―― 病者の長、『もののけ姫』 宮崎駿さんが脚本を担当し、 スタジオジブリが製作した、 長編アニメーション映画 『もののけ姫』 という作品があることはご存知だと思います。 この『もののけ姫』の物語のなかに、 「シシ神」 という名前の「神」が登場します。 この「神」、 すこし変わった名前だと思いませんか? 「神」であるにしては、 すこし威厳に欠ける名前のように感じられます。 これなら、猪族の長である巨猪、 「乙事主(おっことぬし)」の方が、 よほど威厳のある名前のように感じます。 この「シシ神」は、 『もののけ姫』の物