久しぶりに「恋愛」をしたという彼女の話を聞いて私はできるだけ薄汚く笑った。よく飽きないねえ。私の下卑た口調を期待していたにちがいない、冷ややかな目が私を見下ろした。私たちはL字型に席をとり、うつくしい庭に面した、たぶんこのお店ではいちばんいい席にいる。そこで見せる動作が「座っている者同士なのに見下ろす」。たいしたものだと私は思う。こういう女には物理的な高さなんか要らないのだ。うんと小さいうちから心をぺしゃんこに潰されて、ふくらもうとしては潰されて潰されて、その上に半ば人工的に大人の人格を築いて、だからどのような感情の底にも怒りが隠れているような女。いちおう友人という位置にある私の目には手のつけられない幼稚さと凶暴さがあからさまに見えるんだけれど、男たちには少しもわからないらしい。 飽きるからやめるのよと彼女は言う。私、飽きっぽいの。ひとりに飽きるという話じゃないと私はこたえる。恋愛なんてあ