半年ほど前、神楽坂を散歩していたら、Bar Pálinkaと書かれたドアを見つけた。こんなところにバーがあったんだなと、ググってみたら2020年開店のハンガリーの蒸留酒をメインに取り扱うバーであるらしいことが分かった。ハンガリーの蒸留酒を専門的に扱うバーは国内には他にないらしく、そしてその蒸留酒の名前がまさにパーリンかであるらしい。 つまり、パーリンカなる酒を飲むなら基本的には、ここしかないということなのだ。興味深いではないかということで、行ってみることにした。 はじめてのバーの扉を開ける時というのは緊張するものである。扉の向こうにはマスター以外だれもいないかもしれないし、もしかすると、満席で入れないのかもしれない。マスターの人柄だってわからない。恐る恐る、真っ黒の扉を開くと、溌剌としたマスターがにこやかに迎えてくれた。バーに行って、マスターが年下なことはあまりなかったのだけれど、マスター