心の病が人を強くする 本書、ナシア・ガミー著『一流の狂気』を読むと、自分の鬱病などの心の病気への認識を大きく改める必要を痛感した。なぜなら、精神的な病だからこそ、人は強くなれるところもある、というのだ。 どういうことか。本書に登場するのは、リンカーン、フランクリン・ルーズベルト、チャーチル、ガンディー、キング牧師、ケネディ。誰もが知る、これら歴史上の偉人は、鬱病、躁鬱病もしくは気分高揚性パーソナリティ(軽度の躁)を患っていた可能性が相当高いことを医者でもある筆者はさまざまなエビデンスから診断する。 本書の主張ははじめに要約されている。 この本は、少なくともあるきわめて重要な状況においては、狂気こそがよい結果をもたらし、正気こそが問題であるということを主張する。すなわち、危機の時代にあっては、精神的に正常なリーダーよりも精神的な病んだリーダーの指揮下にあるほうが私たちはうまくやっていけるのだ