ロング・ナウ協会代表、スチュアート・ブランド氏に聞く (中)「我々は10年前の情報すら引き継げない」 ●デジタルデータの問題点 ――「1万年時計」のほかにも、協会では「ロング・ターム・シンキング」のための様々なツールを検討されていますね。 「ライブラリと呼んでいる、いくつかのプロジェクトがある。たとえばデジタルデータの保存の問題。(フォーマットやOSのバージョン違いなどによって)デジタルデータは概ね10年ごとに消滅してしまう。にもかかわらず、すべてはデジタルになっていく。たった10年前の情報すら引き継ぐことができない文明というのも、何とも無様だ。エジプトは王の墓を次の世紀へ、次の千年紀へと引き継いできた。デジタルデータが数千年にもわたって存続するなんて、今はまだ思いもよらない。ただ、ロング・タームを真剣に考えるなら、その手立てを考える必要も出てくるということだ。 ロング・サーバー・プロジェ