いくえみ綾さんは、昔からとても好きな漫画家さん。 絵もストーリーもシンプルでごちゃごちゃしてないし、セリフも少ないし、登場人物の表情も決して豊かじゃない。 リアルではそうであるかのように、すごく悲しいときも、すごく嬉しいときも、泣いたり笑ったり叫んだりとか、あんまりしない。無表情なときさえある。 キャラクターの心情を表すセリフも、とても少なくて、必要最低限に抑えているような気がする。 そして後になって、あの時あのシーンで本当はこんな風に思っていたんだとわかったとき、その人物の心の叫びが、ぐさぐさと胸に突き刺さってきて、それは不思議と、自分の感情とリンクしてしまうのだ。 そんな、不思議な魅力と空気感のある世界をつくる漫画家さん。 いくえみ綾さんの作品を全部読んだわけではないけれど、本屋さんで見かけるとつい手に取り、そして今まで、ハズレだった、おもしろくなかったと思ったことは、1度もない。 短