その正体は謎に包まれているわ。 昭和の戦前の時代から平成まで 密室事件のトリックを鮮やかに 暴いていくの。 『密室蒐集家』 大山 誠一郎 (著) 文春文庫あらすじ鍵がかかった音楽室からこつぜんと姿を消した射殺犯、警察が監視する家で発見された高校生の男女の死体、犯人が警察へ犯行を告げた理由と簡単に見破られるような密室トリックを作り上げた事情。 密室のある事件が起こると、どこからともなく現れる「密室蒐集家」が、鮮やかにその謎を解いていく。 音楽室で起こった密室殺人事件昭和十二年十月。 高校生の千鶴は学校に忘れ物をしたことに気づき、午後六時五十分に校門を通り抜けます。 音楽室からピアノの音が聞こえたため、教室をのぞいてみると、音楽教師の君塚先生の姿が。 別の扉から誰かがやってきたらしく、立ち上がった彼は銃に撃たれ、倒れます。 犯人の顔は見えませんでしたが、千鶴は慌てて宿直室に向かい、橋爪先生を呼