昔墜落事故で遭難した人が横たわる仲間の死骸を食べて生き延びたという話を聞いた。 この場合は既に死んでいたが、絶海の孤島に遭難して他に全く食物がない状態で、 仲間の遭難者を殺して食べたらその人は殺人罪に問われるのだろうか? 私は、食べるための殺害は殺生ではなく、自分の体内で他者の命を育む再生産行為だと解釈している。 と考えると自殺が許されないことの理由も論理的に説明できる。 自分の命は自分だけの所有物ではなく、自分が奪ってきた数々の他の生き物の命も含有されており、 自らの命を絶つことはそれらの生命をも絶つことであるからだと。 然るに、なぜ今多くの社会で人肉食が禁忌とされているか。 まずひとつの理由は、人間に限ったことではなく「同種族同士で捕食し合わない理由」と読み替えると、 どんな種族も自己の種族の存続と繁栄を目的として生きており、だからこそ自らの命をつなぎ子孫を残すのであり、 同種族同士で