2020年夏以降、SNS投稿をきっかけとしたとみられる死亡事件を契機に、インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷を取り締まるべきだという声が急速に強まった。もちろん、その前からネット検索の前歴表示やヘイトスピーチなどに対して訴訟が起こされてきたし、実際、いくつかの事案では発信者やプラットフォーム事業者に賠償や削除措置を命じる判決も出てはきている。しかしその手間や費用が膨大であるなど、被害者救済が不十分だという認識は一定程度社会に広まってきていたといえるだろう。 しかし一方で、SNSの手軽さや自由さがゆえに、多様な言論が生まれてもいるし、最近ではツイッターデモといった言葉も生まれるなど、社会を動かす力にもなりえている。まさに、市民にとって時の権力や大企業など、大きな存在に対し対抗する新たな手段として、極めて有効なものとしても存在している。しかも一度手にした、世界に向けての発信力は、もう手放すこと