かつては手が届かなかったものが、突然身近なものになる。ぼくの世代だと、そんなことがちょくちょく起きる。パーソナルコンピュータ、ワイヤレスモバイルデバイス、VRヘッドセット。最近だと3Dプリンタがそれだ。 この連載は、その存在を知ってから30年を経て立体造形物を自分の手で工作できるようになった人間による、そそっかしい導入記だ。まずは、なぜ買うことになったのか。その経緯を紹介したい。 きっかけは特別定額給付金……の“オフライン”申請書 コロナの給付金がそもそものきっかけだった。特別定額給付金の申込書をずっと放置していたのだが、そろそろ締め切りが近づいてくるかと心配になったので、必要な書類のコピーを取っておこうと考えた。うちにはオールインワンタイプのインクジェットプリンタがあるので、それを稼働させようと、ひさびさに電源をつなげてみた。テストプリントをしてみたのだが、文字がかすれて読めない。何度も