「これが一番いいと思うんだけど」 東京都北区の主婦、畑上ゆかりさん(45、仮名)は帰宅した夫に、チラシの大手電機メーカー製の冷蔵庫を指さした。冷却力が弱くなった古い冷蔵庫の買い替えを考えていた。 容積が500リットル以上で、きれいな氷をつくれて、省エネで…。希望の商品を求めてゆかりさんはインターネットの価格比較サイトやテレビ通販、量販店のチラシを懸命に見比べ、結論を出した。決め手は20万円を大きく下回る価格だった。 「それにしよう」と同意した夫(46)は表情が硬かった。そして言いにくそうに、勤務先の会社が毎週金曜日を休みとする一時休業を始め、超過勤務手当がなくなり、月給の手取りが減ることを切り出した。 夫は電機大手グループの部品メーカーに勤める会社員だ。昨年9月のリーマン・ショック以降、会社の業績は急落した。景気は最悪期を脱したといわれるが、勤務先にはまだ恩恵は届かない。冷蔵庫は、