ひとは過去の失敗に学ぶことがあるのでしょうか? 5年ほど前に「シリア内戦―誰にも止められない殺し合い」という記事を書きました。宗教的少数派であるアサド政権は権力を失えば“皆殺し”にされることがわかっているので、神経ガスでもなんでも使って敵を“皆殺し”にするしかないという話で、実際、その後の展開は予想どおりになりました。 とはいえ、これは私に先見の明があったということではありません。中東に詳しい知人は、「専門家ならみんな知っていること」といっていました。 ところが不思議なことに、中東の専門家がたくさんいるはずのEUやヨーロッパ諸国は、「シリアを民主化する」という大義を掲げて自由シリア軍などに大量の武器を渡しました。これに対してロシアのプーチン大統領は、「権力の空白より独裁の方がはるかにマシだ」と警告しましたが、ヨーロッパの理想主義者たちはまったく耳を貸しませんでした。 その結果、混乱に乗じて
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