(英エコノミスト誌 2012年3月31日号) 湾岸諸国は石油の産出国であるだけでなく、消費国でもある。 ブレント原油で1バレル=125ドル前後と、原油価格がここまで上昇している理由は誰もが知っている。長期的には供給の伸びが弱く、かつ中国などの新興国の需要が急伸している。短期的にも市場が逼迫し、供給は混乱し、イランの動きに誰もが神経を尖らせている。 石油輸出国機構(OPEC)加盟国の中で唯一供給不足を埋め合わせるだけの余剰生産能力を持つサウジアラビアは、市場安定化における期待の星だ。最近、米国と欧州連合(EU)の制裁がイランに適用された際にも、サウジアラビアは市場に対し十分な供給量を保つという誓いを改めて表明した。 しばらくすれば、ペルシャ湾岸の他の産油国も生産量を増加できる可能性がある。イラク、そして制裁の対象となったイランも広大な油田を抱えており、将来的には日量数百万バレルの増産が可能に