(英エコノミスト誌 2012年5月12日号) ギリシャ離脱のリスクが高まる中、ユーロ圏はいまだ、単一通貨そのものを救う課題と向き合っていない。 ユーロ危機が小康状態を保っていたのは、ほんの数カ月だけだった。ギリシャへの1300億ユーロ(1690億ドル)の第2次支援が決まり、2011年12月にはユーロ圏首脳が財政協定に合意し、欧州中央銀行(ECB)が1兆ユーロの低利長期融資を行ったにもかかわらず、再び悪夢が蘇ってきた。 欧州が、迫り来る厳しい試練に対していまだこれほど準備不足だというのは、なんとも気が滅入る話だ。 ギリシャ離脱という悪夢 残された時間は少ない。フランスでは、有権者が次期大統領フランソワ・オランド氏に対して、追い落とされた現職のニコラ・サルコジ氏とドイツのアンゲラ・メルケル首相が定めた「緊縮」コースを変え、成長を重視する権限を与えた。 メルケル首相は財政協定を変えるつもりはない