世界は近年、独裁者やエリート層に対する大規模な大衆デモの勃発に慣れた。 中東では、エジプト、シリア、チュニジアでアラブの民衆蜂起が起きた。ロシアでは、ウラジーミル・プーチン大統領の支配に対する街頭デモが繰り返された。昨年末には、ウクライナの首都キエフで大勢のデモ参加者が独裁的なビクトル・ヤヌコビッチ大統領の退陣を求めた。 そして今、タイの首都バンコクで大規模な反政府デモが発生している。だが、このデモはある1点において他国のデモと異なっている。というのは、タイのデモ参加者は民主主義の拡大ではなく、その後退を求めているからだ。 危険にさらされる「自由な国」の評判 2001年以降、タイの有権者は選挙で繰り返し、タクシン・チナワット氏と、妹のインラック・チナワット氏を含む彼の代理人たちを政権の座に就かせてきた。しかし、1月13日、バンコクの商業地区は、民主的に選ばれたインラック政権を追放し、タイ議