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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (49)

  • アリゾナ発「移民弾圧」第2幕

    不法移民を取り締まるアリゾナ州新法に続いて合衆国憲法の修正論が浮上。「アメリカ生まれの子供に自動的に市民権付与」の廃止を保守派が訴える アリゾナ州で4月23日に成立した移民法は、不法移民の弾圧強化を目指す保守派の戦いの始まりに過ぎない。この戦いはさらに広がり、アメリカ合衆国憲法の修正にまで発展する可能性がある。 先週、リンゼー・グレアム上院議員(共和党)はFOXニュースに対し、アメリカ国内で生まれた子供が自動的に市民権を得る権利を定めた合衆国憲法修正第14条の変更を検討している、と語って物議をかもした。不法移民の子供にはそうした権利を認めないようにしたいというのだ。 「彼らは子供を生むために(アメリカに)やって来る。いわば『生み逃げ』だ」と、グレアムは言った。また、自分は「人道的」でありたいが、今後20年間で不法移民の子供2000万人以上が市民権を得ることを恐ろしく思うと語った。 憲法修正

  • 突如「日本型デフレ」を心配し始めたアメリカ、その背景とは?

    7月末以来、アメリカの金融界では突然「デフレ懸念」という言葉が囁かれるようになりました。とにかく景気の戻りが遅い、雇用の回復はもっと遅いという中で、物価が安定しすぎているし、消費者の心理がなかなか回復しないというフラストレーションがたまる中で、多くのアナリストが真剣に「このままでは日の失われた10年(ロスト・ディケイド)になってしまう」と言い始めたのです。1つの伏線は、FRB(連邦準備理事会=日銀行に相当)のバーナンキ議長が、7月21日の議会証言で、米国経済は「異例なまでに不確実("unusually uncertain")」であると発言したのを受けて株が下がったというエピソードです。 この「異例なまでの不確実」という、それこそ「異例な」発言をどう解釈するのか、色々なことが言われたわけです。まあ不確実という中には良い方に転ぶ可能性も入っているのかもしれませんが、やはり「異例なまで」とい

  • オバマの勝利なき「イラク撤退」宣言

    公約達成へ イラク市民の犠牲者はまだ多いが、オバマは治安の改善を強調(8月2日、ジョージア州アトランタ) Jason Reed-Reuters あと4週間で、イラクに駐留する米軍のうち最後の戦闘部隊が撤退する。バラク・オバマ米大統領の選挙中の公約である「就任後16カ月以内の戦闘部隊の撤退」を実現しようというわけだ(実際には19カ月たつが、まあ許容範囲だろう)。 戦闘部隊の撤退後にイラクに残る米軍は、治安維持とイラク治安部隊の訓練とに従事する5万人だけになる。この5万人が11年末に撤退すれば、駐留米軍は完全にいなくなる。 だが、米軍はイラクから撤退して当に大丈夫なのだろうか。オバマは8月2日、ジョージア州アトランタで、イラクとアフガニスタンで戦った退役軍人らを前に演説し、イラクでは現在も死者が出続けているが、暴力は大幅に減り、米軍は攻撃をほぼ免れていると述べた。 確かに、今も米兵が反政府武

  • 電気自動車が安くなる「歴史の法則」 | ビジネス | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    GMは年内発売の電気自動車「ボルト」の価格を4万1000ドルと発表。確かに高過ぎるが、価格はいずれ下がる ゼネラル・モーターズ(GM)は7月27日、アメリカで年内に発売する電気自動車「シボレー・ボルト」の希望小売価格を4万1000ドル(約360万円)に設定すると発表した。連邦政府から最大7500ドルの税控除を受けられるとはいえ、お世辞にも安いとは言えない。なにしろ、アメリカの世帯所得の中央値は5万ドルあまり(08年の数字)だ。 懐疑論が噴き出すのは目に見えている。GMが販売しているガソリン自動車「シボレー・マリブ」の価格は、約2万1000ドル〜。価格に2倍近くの開きがあって、わざわざ買い換える人がどの程度いるのか。自動車メーカーが富裕層だけを相手にハイブリッド車や電気自動車を売り込んでいるようでは、地球を救うことなどできないのではないか。 もっともな疑問だ。ガソリン価格が比較的低く、ガソリ

  • 米GDP最新値は言うほど悪くない

    7月30日に発表されたアメリカの10年4〜6月期のGDP(国内総生産)成長率は年率換算で前期比2.4%と、成長の伸びに鈍化が見られた。だが今回の報告には、ほかに注目すべき点が3つある。 1つ目は、米経済の二極化を裏付けたこと。貿易やサービス業などアメリカ国外との取引が多いグローバル企業ほど好調で、国内市場のみに限られる不動産業のような分野は不調のまま。4〜6月期の個人消費は1.6%増と前期の1.9%増から減速したが、設備投資は17%増と、前期の7.8%増に比べて大幅に拡大した。 2つ目は、二番底を恐れる声に反して、米経済が適度な速さで拡大し続けているということ。1〜3月期の成長率は2.7%から3.7%に上方修正され、これで10年上半期には3%成長を遂げたことになる。十分な成長速度とは言えないにしても、二番底を心配する必要はないだろう。 3つ目は、過去10年間の景況が思っていた以上に悪かった

  • 「危機の記憶」に苛まれる米消費者心理

    戻った買い物客 小売り売上高は順調に回復している(5月、マンハッタン中心部に初進出したアウトレット店ノードストローム・ラック) Chip East-Reuters アメリカ経済は成長しているのに、国民の間には悲観論が漂っている。アメリカ人は将来を悲観しつつ、買い物を続けているように見える。 7月27日、全米産業審議会は7月の消費者信頼感指数が2カ月連続で落ち込んだと発表した。さらに悪いことに、向こう6カ月間の経済活動の状況に対する消費者の見通しを示す期待指数も著しく悪化した。 「景気と労働市場への不安が消費者に暗い雲を投げかけており、雇用情勢が改善するまで状況は変わらないだろう」と、全米産業審議会消費者リサーチセンターのリン・フランコ所長は言う。 とはいえ、新学期前のセールを控えた小売り業界の見通しは悪くない。国際ショッピングセンター協会(ICSC)と証券大手ゴールドマン・サックスが毎週発

  • フランスのブルカ禁止には大賛成

    顔が見えない イスラム女性のベール「ニカブ」を着用して車を運転していたとして罰金を課されたフランスの31歳女性(ナント、6月28日) Stephane Mahe-Reuters 友好的な民主主義国家が下した法律上の決定を、外国政府が非難するなど極めてまれなことだ。 7月13日、イスラム教徒の女性が顔や全身を覆うベール「ブルカ」など――「携帯する女性の監獄」と表現した人もいた――を公共の場で着用することを全面的に禁止する法案をフランス下院が可決した。これについて米国務省は14日、正式に非難のコメントを出した。 「宗教的信念に基づき人々が何を着ていいか、何を着てはいけないかを法律で定めるべきではないと思う」と、国務省報道官のフィリップ・クラウリーは声明を発表した。 おまけにロサンゼルス・タイムズ紙やナショナル・パブリック・ラジオ、さらには普段はフランスのやり方を賞賛してばかりの右派のコメンテー

  • オバマ政権「機密流出」反論の納得度

    苦しい立場 機密文書の大量流出に対し、アフガニスタン政策に影響はないと言うオバマだが(7月27日、ホワイトハウスで) Jim Young-Reuters アフガニスタンにおける米軍の軍事作戦に関する9万点を超える機密文書(出所は主に派遣部隊や情報関係者と見られる)が民間の内部告発サイト「ウィキリークス」に流出し、その多くが公開された。 この中には「民間人の人的被害」や「アフガニスタン政府の汚職」、「パキスタン当局とタリバンの癒着」といった、バラク・オバマ大統領率いる米政府にとっては耳の痛い話も含まれている。 そこでオバマ政権は反撃に打って出た。ジェームズ・ジョーンズ大統領補佐官(国家安全保障担当)とロバート・ギブス大統領報道官、P・J・クラウリー国務次官補(広報担当)は異口同音に、流出した機密文書の内容に目新しいものはなく、米政府の政策には影響しないとの見方を示している。 さてこの政府側の

  • 米議会も見捨てた普天間移設

    引越はまだ? 当に辺野古に移設できるのか(5月3日、普天間飛行場) Toru Hanai-Reuters 参議院選挙での敗北を受け、菅政権は米軍普天間飛行場の移設問題の決着を、11月の沖縄県知事選の後に先送りする方針を固めた。5月に発表された日米共同声明では、代替施設の工法などの決定期限は8月末とされているが、管政権は改めて辺野古湾でのV字型滑走路の建設計画について代替案を検討している模様だ。 一方、ウォールストリート・ジャーナルが報じているように、アメリカの国内政治もまた、在日米軍再編計画の新たな障害になっている。06年に日米で合意した「再編実施のための日米ロードマップ」では普天間飛行場の移設とともに、沖縄に駐留する米海兵隊を2014年までにグアムに移すことが明記された。しかし米議会は海兵隊員8000人のとその家族を受け入れるために必要なグアムの基地建設にかかわる予算の削減案を可決した