スペインの首都マドリードの見本市会場に設置された新型肺炎患者用の病床 COMUNIDAD DE MADRIDーREUTERS <パンデミックの主戦場と化した欧州各国の悪夢を、日本は避けられるのか。スイス・ジュネーブ在住でロックダウンに至るまでの各国の過程を目の当たりにした感染症対策の第一人者が提言する、いま日本に求められていること> 新型肺炎によって、私が住むスイスのジュネーブもゴーストタウン化した。非常事態が宣言され、国境は閉鎖、外出も制限された。 観光客でにぎわっていたレマン湖畔に人影はなく、私のオフィスはじめ国際機関のビルも閉じられた。自宅勤務を余儀なくされているが、通常業務に加え新型肺炎対策のため、かえって繁忙だ。 対岸の火事と見ていた欧州で火の手が上がったのは2月下旬。あっという間に欧州全域の44カ国に感染が広がった。 特にイタリアの感染流行は文字どおり爆発的だ。3月19日に新型