5月に刊行されたリチャード・パワーズの長篇小説『囚人のジレンマ』が、二カ月経った現在も、好評のうちに迎えられています。 「9.11以降も相変わらず〈囚人のジレンマ〉を突きつけられている世界状況を直視するとき、この小説が提示する想像力は大いに役に立つ」(越川芳明氏評、「日本経済新聞」7月1日) 「人間のエゴをめぐる問題を通奏低音のように響かせながら、時空を越えて絡まりあう複数の物語が絶妙のハーモニーを奏でている」(西田英恵氏評、「coyote」7月号) 「個々人がどのように世界にコミットしていけばいいのかという大テーマを、家族小説という小さなフレームの中に描いて感動的」(豊崎由美氏評、「本の雑誌」8月号) ――など、本書のテーマを深く受け止めた書評にも恵まれ、順調に版を重ねております。 刊行直後の6月には、立川のオリオン書房ノルテ店にて本書訳者の一人、柴田元幸氏によるトークイベントが、また池