火曜日、どんな映画も始まってすぐが冒頭部になっている。当たり前のことを書いているようでたしかにそのとおりなんだけど、どんな映画も別に自然に始まるわけではなくて、そこで始めようと誰かが決めた結果、そうなっている。 タイトルのとおり、ウクライナの都市・マリウポリへのロシアの侵攻(2022年)をたぶんほぼ時系列に沿って記録した「マリウポリの20日間」のほぼ始まりは、外の路上を「Z」と書かれたロシアの戦車がうろうろしているところで、一瞬、ああこれが侵攻の初日の様子なのかと早合点してしまうけれども実はそうではなく、それはもっと日付が進んだ何日目かに起きた出来事なのだとあとでわかる。映像は病院の7階の観察拠点から撮られていて、当然、戦車が走っているのはそこからはるかに見下ろす地上だ。カメラは窓の内側からそれを撮る。別の窓からのショットでは、窓ガラスにひびが入っているのも確認できる。 なるほど、この映画