世の中には、ふしぎな魅力で人を惹きつける「数」や「図形」が存在します。なかでも古くから人類を魅惑し続けてきたのは「π」と「円」ではないでしょうか。そこには、どんな数学的な秘密が隠されているのか……話題の新刊『円周率πの世界——数学を進化させた「魅惑の数」のすべて』の内容を短期連載で紹介いたします。 バビロニアのπ 世界で初めて文字を使いはじめたといわれるバビロニアでは、πをどのような数で表していたのでしょうか。発掘されたバビロニアの粘土版には、円の円周と円に内接する正六角形のまわりの長さとの比が書かれています。 円の半径を r とすると、内接する正六角形のまわりの長さは 6r です。この程度のことは、高度に進歩していたバビロニアの数学レベルでは当然わかっていました。円のまわりの長さ、すなわち円周は 2πr です。60進法を使っていたバビロニアの人たちがつくった比は、 6r : 2πr =
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