1ヶ月前に実質為替レートについて書いた時に、日本のデフレの原因を海外に求める見方の矛盾を指摘した。そうした見方は、簡単に言うと 日本の生産性が低いため、海外新興国の台頭により安い輸入品が流れ込み(もしくはそうした安い商品との市場での競合により)、価格低下が生じた という主張である。それに対し小生が疑問を呈したのは 日本の生産性が低いならば、なぜ為替レートでの調整ではなく、国内物価による調整が行なわれたのか? という点である。 しかも、そうした論者が得てして同時に主張するのは、為替レートが減価せずに国内物価が低下したので、実質為替レートは円安となった。従って為替レートはむしろ今後は円高になる、という論理である。 喩えるならば、その一連の主張によると、新興国の台頭による世界的な価格低下は、日本に関してはトロイの木馬のような働きをしたことになる。すなわち、日本は変動相場制を採っているにも関わらず