「マスメディア、国民、国。この3者がそれぞれ進化している」と語る伊藤穰一MITメディアラボ所長=古田大輔撮影 【古田大輔】テクノロジーの進化はメディアや社会をどう変えるのか。世界最先端の研究者らが集うマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長で、昨年、米紙ニューヨーク・タイムズの社外取締役に就任した伊藤穣一さんに話を聞いた。 ――インターネットに代表されるテクノロジーの進化で、マスメディアの何が変わったのでしょう。 「マスメディアは、国民に今何が起きているかを伝えるという民主主義にとって重要な機能を持ってますよね。それが投票行動につながる。情報を集めるにはプロのジャーナリスト、紙で伝えるには印刷機など大規模な設備が必要で、それが今のマスメディアの形態です。だけど、ネットで情報収集や通信のコストが下がった。国民は自ら発信したり、NPOを運営したり、投票ではない形で政治に関わる