多数が集まることで思考の品質が下がるリスクについて、もう少し具体的に紹介してみましょう。 例えば、社内の気心の知れた人達で集まって会議を開催すると、知らず知らずの内にその人たちの間で「今の私たちが持っている『雰囲気』や『秩序』を大切にしよう」とする意識が働くものです。 会議が進み、議論が一定の方向にまとまり始めると、そこで反対意見を出すことは「雰囲気や秩序を乱す」として、賛成意見以外を言いづらい雰囲気が形成される──といったこともあるでしょう。 一見「良案」にみえる意見においても、それが客観的に正しい、良いものなのかどうかよりも「和を乱さないか」であったり、「(まとまっていた話が)まとまらなくなってしまうのではないか」といった観点に重きを置かれてしまうのです。 こうしたケースは決して珍しいことではなく、例えば一部上場企業における役員クラスのミーティングにおいても、同様の傾向が見られることも