いつの頃からかよく耳にする「萌え」という言葉。「おたく」の世界の話でしょ、と思いきや、いまや影響は多方面に。現代アートの世界でも「萌え」が席捲している。しかし、はたしてその作品群は、オトナの鑑識眼に耐えうるものなのだろうか? 妖怪が現代アートの世界を徘徊している。「萌えアート」という妖怪が――。 現代アートはいまアニメ・マンガの多大な影響を受けているが、その新潮流の旗手として頭角を現してきたのが、「カオス*ラウンジ」という美術集団。ちなみに「萌え」とはおたく用語で、空想上の登場人物(基本は女性)に入れ込む状態をさす。 寄せ書きによる、アニメ『らき☆すた』の少女・つかさの立体作品。少女キャラを無数に貼り合わせた、梅沢和木のデジタル絵画。琴葉とこによる、心の病を負った=メンヘラ少女が立ち直る物語のマンガ同人誌。名門ギャラリー、高橋コレクション日比谷の展示場を彩ったこうした風景こそ、カオス*ラウ