放送界の第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)の放送人権委員会(竹田稔委員長)は30日、テレビ朝日「報道ステーション」の、徳島県の土地改良区に絡む横領事件の報道について、「重大な放送倫理違反があった」と認定することを決定、同局に対して放送倫理と人権に一層配慮し、認定内容を放送するよう勧告した。 同委員会の決定としては、人権侵害に対する救済勧告に次ぐ重いもので、同委員会が「重大な放送倫理違反」と認定するのは2例目。 決定によると、昨年7月23日の同番組で、同県で起きた土地改良区職員による横領事件を報じた際、上部団体の全国土地改良事業団体連合会(全土連)の会長を務める野中広務元官房長官の映像を流した。 放送後、野中氏が「事件と関連があるかのようにした作為的報道で、国民に著しい誤解を与える」と同局に抗議。昨年10月に名誉と信用の侵害などを訴え、訂正と謝罪放送を求めて同委員会に申し立てた。